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治安状況
参照: 2024年世界平和指数レポート
イギリスはヨーロッパ諸国の中でも比較的経済が安定しており、「治安が良い国」と言われています。しかし、日本が17位にランキングしている世界平和指数(2024年度)において、イギリスのランクは34位と決して高くはありません。また、外務省によると2023年に警察に報告のあったイングランドおよびウェールズにおける犯罪の総数は約549万件であり、これは日本の2023年の刑法犯総数の7.8倍になります。これらのことから、日本人の感覚で「治安がいい」とはいいがたいことがわかります。
参照:イギリス国家統計局 Crime in England and Wales – Office for National Statistics
さらに、イギリスの国家統計局からも近年は軽犯罪が増加していると発表されています。ここ数年において、詐欺や盗難などの軽犯罪が増加傾向にあり、刃物を使用した犯罪においても、上昇傾向に転じています。
実際に生活していて普段から「治安が悪い」「怖い」と大きく感じるわけではありません。また銃社会のアメリカなどに比べて比較的安全ではあります。それでもやはり日本と比べると犯罪が多いイギリス。犯罪防止意識が高く、防犯カメラの整備がかなり進んでいる国ではありますが、路上強盗やスリ、置き引きなどの盗難や住宅への侵入窃盗が多く発生しています。よって、滞在中は十分注意しながら生活することをおすすめします。
イギリスで巻き込まれやすい犯罪
↑イギリス ウインブルドンでのテニス観戦。お祭り雰囲気は楽しいですが、人混みのなかでの軽犯罪には注意が必要です!
現地で犯罪に巻き込まれてしまい、せっかくの留学が台無しになってしまった…… 。なんてことになりたくないですよね。楽しい思い出がつまった留学にするためにも、日本人が巻き込まれやすい犯罪をしっかり把握し、危機管理意識を高めておきましょう。
スリ
まず、私たち日本人が頻繁に被害にあう犯罪と言えば「スリ」。バッグのファスナーを開けっ放しにしていたら、いつの間にかバッグからお財布や携帯が抜き取られてしまっていた…… といったケースは多く見られます。親切な人が道を教えてくれようとしていたと思いきや、道を教えてもらっている間にその仲間にバッグから財布を抜き取られた、といったような集団によるスリの手口もよく見れます。
置き引き
スリの次に、日本人が頻繁に巻き込まれやすい犯罪は「置き引き」です。日本では、カフェでお金を支払う際にバッグをテーブルに置いておいても、支払っている最中にカバンが盗まれるということはほぼ起きません。しかし、イギリスや多くの海外では、そのような行動をすると、一瞬にしてバッグがテーブルから消えてしまう…… そんなこともあります。レストランでテーブルの反対側のイスにバッグを置き、「目の前にあるから大丈夫」と思っていても、一瞬気を緩めた瞬間に気付けばイスに置いていたバッグが盗まれるということも多いようです。
強盗・ひったくり
昨今、イギリスでは強盗やひったくりの犯罪数が増加傾向にあり、特に大都市のロンドンなでは、スクーターに乗ったギャングたちによる強盗やひったくりが多発しています。周囲に注意を払っていないと、スクーターで近寄ってきたギャングに、スマホや財布、カバンなどを突然奪い取られてしまいます。「歩道を歩いているから平気」と思っていてもギャングがスクーターで歩道に乗り出してくるという事件も……。抵抗しようすれば、刃物で脅してくるギャングたちもいるため、まずはそういったことに巻き込まれないように、日中でも十分注意しましょう。
デートレイプドラッグ
日本でも近年増加傾向にあるといわれるデートレイプドラッグ。イギリスでも多発している犯罪の一つです。
法律で規制はされているものの、イギリスはドラッグ犯罪率が日本よりも高い国です。音楽が盛んなイギリスで夜のクラブに出かけると、若者がドラッグを乱用している状況に遭遇することもあるでしょう。自らドラッグを服用しなくとも、パブやクラブで気づかぬ間に飲み物にドラッグや睡眠薬を混入され、抵抗できない状態にされたあと、レイプや暴行の被害にあうという事件が少なくありません。パブで知り合った人が飲み物をおごってくれたと思いきや、実はそれが薬を混入するための手口だった……。トイレに行っている間に飲みかけのドリンクに薬を混入された……。というケースもあります。
空き巣
防犯カメラの整備が整っていても、日本と比較すると発生率が多いのが空き巣です。住む家や場所にもよりますが、オートロックが無いアパートや、地上階のアパートなどに住むと狙われやすい傾向があります。一度は住んでみたいと思うアンティークなイギリス様式の家やアパートではオートロックシステムがなく、入り口や窓に防犯対策が設置されていないこともしばしば。空き巣に入られると大事なパスポート、パソコン、時計など、ありとあらゆるモノが盗まれてしまいます。
詐欺
2020年以降のCOVID-19パンデミックにより、イギリスではオンライン活動が爆発的に増加し、詐欺師が新たなターゲットを見つける機会が拡大しました。同時に、物価高や貧困といった経済的困難が続き、人々は詐欺師の甘い話に乗りやすくなっています。さらに、AI技術の悪用や国際電話番号の悪用などによる詐欺手口の巧妙化が進み、見抜くことが極めて困難になっている現状です。日常生活におけるオンラインサービスへの依存度が高まっていることも、詐欺師がターゲットを見つけやすくなった大きな要因です。
被害に遭わないためには、情報リテラシーを高め、不審な連絡は必ず信頼できる情報源で確認することが大切です。例えば、オンライン上で金銭を取り扱うアプリなどでは二段階認証を活用する、また、身に覚えのないメールアドレスや電話番号からの問いかけには個人情報の共有はもちろん、対応しないようにする、金銭的な誘いには即断せず信頼できる人に相談するなど、十分に注意しながら生活するようにしましょう。
治安が良い地域
犯罪に巻き込まれず、安全に過ごせる地域ってあるの?と疑問に思われている方も多いのではないでしょうか。そんな方のために、ここでは、イギリスの中でも比較的治安が良いとされる都市をご紹介します。
エディンバラ
犯罪捜査番組を配信するCRIME+INVESTIGATIONの世論調査で、エディンバラは居住者がイギリスの中で最も安全だと感じる都市として選ばれました。エディンバラに住む82%もの人々が安全だと感じ、他のイギリス市民へエディンバラへの居住を勧めるほどの都市です。文化の中心地であり、比較的に観光客も多く、学生も多いエディンバラは、犯罪率も低く、安心して生活ができる都市です。
ケンブリッジ
留学先として人気のケンブリッジも、さまざまな調査において安全な都市として上位にランクインする都市です。ケンブリッジは他都市と比べて裕福な地域であり、学生もとても多く、留学生にとっても安心して過ごすことができる環境が整っている街です。
ブリストル
学生や若者に人気の活気があり、日中は中心部や大学周辺で人通りが多く安全です。特にクリフトンやレッドランドのような高級住宅街・学生街は犯罪率が低いです。市は治安維持に積極的に取り組んでおり、夜間の安全を示す「Purple Flag」認定も受けています。また、多様性と包容性のあるコミュニティが犯罪抑止に繋がっています。
サウサンプトン
大学周辺は比較的安全で、日中は中心部も問題なく過ごせます。また、一部の郊外地域は落ち着いており、市は治安向上への取り組みを進めています。多様な活気ある街であることも、安全と言われる所以です。CRIME+INVESTIGATIONの世論調査によると、非常にのんびりとした住民が多く、暴力や犯罪に不安を持つ人は少ないとのことでした。
ブライトン&ホーヴ
ホーヴ側は住宅地として落ち着いた雰囲気で、ブライトンは強盗や殺人といった凶悪犯罪の数は少ない傾向にあり、比較的安全です。また、街が小さくまとまっているため、警察官の巡回が小まめに行き届きやすいことも相まって、犯罪率が低いとされています。都市全体としては、活気があり日中は人通りが多いことで一定の相互監視効果も期待でき、市議会も地域安全戦略を策定し、様々な犯罪対策に取り組んでいます。
治安が悪い地域
では反対に、「危ない地域ってどこなんだろう?」と思われた方のためにイギリスの中で治安が悪いとされる地域をご紹介します。
ロンドン
イギリスの首都、そして留学先として人気のロンドンは、残念ながら犯罪が多い街です。ここ数年ほど、市民に「ロンドンは、ナイフ犯罪と同義語だ」と称されるほど、犯罪が多い街として頻繁に名前が上がります。2018年には刃物を使用した168件の犯罪が記録されており、5,000人以上が病院に搬送され、268人もの死亡者が報告されています。また、ギャングによる犯罪が増加しており、テロも含め、さまざまな犯罪のターゲットになりやすい都市です。
シェフィールド
シェフィールドは、全体的に全国平均よりも犯罪率が高い傾向にあります。特に万引きは全国平均の3.49倍、強盗は2.32倍と、反社会的行為が非常に多い現状です。
都市の中心部は、ショッピングやナイトライフ、観光の中心地であるため、暴力犯罪、性犯罪、万引きなどが多発しやすいエリアとなっており、特に週末の夜間は事件が多いと報告されています。また、一部の地域は、貧困層が多い工業地帯や住宅地であることが多く、犯罪率が高いエリアとして挙げられており、これらの地域では特に注意が必要です。
レスター
レスターは、イギリスの全国平均と比較して全体的に犯罪率が高い傾向にあります。中でも深刻なのが暴力犯罪と性犯罪の多さで、これらは全犯罪の2.86倍であり、全体的な犯罪率は全国平均より51%高いです。公共秩序違反の犯罪率も全国平均の3.39倍と報告されていて、街の雰囲気や生活環境に悪影響を与えていることがわかります。
バーミンガム
イギリスの第二の都市であるバーミンガム。バーミンガムは大都市でありながら、ギャングが依然として集まり、重大な組織犯罪が起きる都市です。未だなお、バーミンガムの原住民とアルバニア人などの外国人による、麻薬取引、銃の密輸入、および現代の奴隷(人身取引、強制労働や性的搾取等)において縄張り争いが行われています。金銭的に余裕がない移民や不法滞在者が多い街として有名であり、犯罪が絶えない街の1つです。
マンチェスター
スポーツと音楽文化が盛んなマンチェスター。マンチェスター警察は、毎年約200,000件の犯罪報告を受けているといいます。犯罪のほとんどは軽犯罪であるものの、マンチェスターでは週に一人の殺人事件、そして年間約125,000件の暴力犯罪が発生していると言われています。よって、マンチェスターは平均犯罪率が他の都市と比較して、著しく高い都市と言えるでしょう。特に、マンチェスターの中でもモスサイドやラスホルムと呼ばれるエリアは銃犯罪が多いエリアのため、足を踏み入れないことをおすすめします。
参照:CrimeRate
留学中の防犯対策
↑ロンドン市内の観光の様子 食事やお茶をするときは、貴重品の管理など友だち同士で注意しあうようにしましょう。
日本で生活しているときと同じ感覚で生活すると、イギリスに限らず、どの国に留学しても、さまざまなトラブルに遭遇してしまう可能性があります。貴重な留学を台無しにしないためにも、「自分の身は自分で守る」ことを心がけましょう。ここでは、イギリスで犯罪に巻き込まれないための防犯対策をいくつかご紹介します。
バッグは開けっ放しにしない
基本的なことですが、必ずバッグのファスナーは閉めましょう。また、ファスナーがついているバッグでもなるべく端に隙間がないバッグを持つことをおすすめします。「バッグの中に手を入れられたら絶対気付くはず」と思っている方も多いと思いますが、相手はスリのプロです。気を抜いた一瞬の隙にカバンの中から財布や携帯などを抜き取られ、バッグの中に入っている手に気付いた次の瞬間には犯人が走り去っていく、そんな被害は後を絶ちません。被害にあわないためにも必ずバッグは閉めるようにしましょう。
貴重品は肌身離さない
こちらの対応も基本的な対策ですが、日常生活で治安の悪さを感じないためか、留学生が忘れやすいことの一つです。お友達との会話に夢中になったり、集合写真を撮ったりするときなど、貴重品から一瞬目を離してしまうなんてことはよくある話です。たった一瞬でも目を離すと、大事な荷物が置き引きにあってしまうことが多々あります。テーブルの上に置いていたお財布や携帯、テーブルの向かい側のイスに置いていたバッグなど、お友達と話している一瞬の間に盗まれてしまうことがあるため、必ずご自身の貴重品は手放さないように心がけましょう。
バッグは歩道と反対側の手でもつ
起きやすい犯罪でお伝えした通り、強盗やひったくりが多いイギリス。スクーターギャングが突然歩道に乗り出してくる、なんてことも。歩道側にバッグを抱えていると、ひったくりや強盗がバッグを奪ったあとに走り逃げやすく、狙われる可能性が高くなります。ターゲットにされることを防ぐためにも、バッグは歩道の反対側に抱え、なるべく壁や建物沿いに歩くようにしましょう。
公共交通機関を利用する際は、ドア付近に立たない
電車やバスに乗るとき、到着地に着いたら直ぐに降りたいからドア付近に立ちたい、と考える方も多いとは思いますが、ドア付近はひったくりやスリに狙われやすい場所です。ドア付近はモノを盗んだ後にすぐ逃げることができるため、犯罪者の標的となりやすい場所なのです。公共交通機関を利用する際は、なるべくドアから離れたところに立ち、バッグが身体の前にくるように持ちましょう。
夜のバスの2階席は避ける
ロンドンバスで有名な2階建てバス。夜の2階建てバスは暗く、人も少なく、犯罪が起きやすい場所の1つです。夜に一人でバスの2階席に座っていると、突然他の乗客に脅されて貴重品や携帯を奪われてしまうことや、酔っぱらった若者に突然暴力を振るわれてしまうといったことがあります。夜にバスを利用する際は、1階席のドライバー近くの座席を利用しましょう。
歩いているときは、スマホや音楽に夢中にならない
歩きスマホや音楽を聞いている人はスリやひったくりの標的となる傾向があります。歩いているときにスマホに夢中になったり、イヤホンで外部の音をシャットダウンして周囲の変化に気が付かない状態でいたりすると、犯罪者が近寄っても気づきにくいため、狙われやすいのです。外を歩くときは、なるべく携帯は手で持たずにバッグの中にしまい、イヤホンも外しておきましょう。せっかく日本と異なる場所にいるのですから、現地の人の英語を耳にしながら外の景色を楽しんでみてはいかがでしょうか。
一人歩きはなるべく避ける
特に女性の場合、夜間は人通りが少ない道を一人で歩くのは極力避けましょう。もし避けられない場合は、明るい道を選び、タクシーや信頼できるライドシェアサービスを利用するなど、安全な移動手段を確保してください。
安易に誘いには乗らない
道端で声をかけてくる見知らぬ人や、あまりにも都合の良い話には注意が必要です。何が起きるか予測ができないため、たとえ親切に見えても、安易に個人情報を教えたり、一緒にどこかへ行ったりしないようにしましょう。
さいごに
イギリスの治安状況、巻き込まれやすい犯罪、治安が良い地域、治安が悪い地域、滞在中の防犯対策をご紹介させていただきました。治安が悪いとされる地域でも、危機管理意識を持ち、防犯対策をしっかり行えば、危険な目にあうこともなく、何の問題もなく過ごすことももちろん可能です。伝統と現代が共存する魅力あふれるイギリス留学を、楽しく、そして価値のあるものにするためにも、正しい情報と知識を持って渡航しましょう。