【最新情報】オーストラリア、留学生受け入れ上限を拡大 ― 2026年に29万5,000人へ
オーストラリア政府は、国際教育戦略の一環として、これまでの留学生受け入れ方針を大きく転換しました。従来27万人とされていた上限を29万5,000人(約9%増)に引き上げ、2026年に向けてさらなる拡大を進めます。これにより、公共大学を中心に留学生枠が増え、東南アジア諸国との教育連携も強化される見込みです。国際学生にとっては進学のチャンスが広がる一方、現地社会では住宅不足など新たな課題も浮かび上がっています。
参照:The Guardian
受け入れ上限の変更点
オーストラリア政府は、これまで27万人に設定していた国際学生の受け入れ上限を見直し、2026年には29万5,000人まで拡大すると発表しました。これは2万5,000人、約9%の増加にあたり、近年の「制限傾向」から「積極的な拡大方針」へと大きく舵を切る転換点となります。
今回の変更が特徴的なのは、単なる人数の上乗せではなく、教育機関や地域の取り組みに応じて枠を配分する仕組みが導入されている点です。たとえば、公共大学や学生寮を積極的に整備している教育機関には優先的に追加枠が与えられるなど、受け入れの「質」を確保する工夫が盛り込まれています。
また、従来は制限の対象となっていた分野や進学ルートの一部が免除対象となりました。具体的には、オーストラリアの高校やTAFE(専門学校)、政府奨学金を通じて進学する学生は上限の枠外とされ、よりスムーズに進学できる仕組みになっています。これにより、国内教育機関を経由する学生や特定地域からの学生を優先できる体制が整いました。
つまり、今回の見直しは「単純に人数を増やす」というよりも、戦略性を持たせた、受け入れ拡大といえるのです。
留学生枠が広がったワケ
オーストラリア政府が留学生の受け入れを拡大した背景には、いくつかの大きな理由があります。
まず第一に、教育分野での国際競争力を維持・強化する必要性です。
オーストラリアは長年にわたり、英語圏の主要な留学先として世界中の学生を受け入れてきました。しかし近年はカナダやイギリスといったライバル国との競争が激しくなっており、もし受け入れ枠を制限したままにすれば、優秀な学生が他国へ流れてしまう可能性があります。留学枠を広げることは、オーストラリアが魅力ある学びの場であり続けるための戦重要な判断といえます。
次に、教育が経済に果たす大きな役割です。
留学生は学費だけでなく、住居費や食費、交通費といった日々の支出を通じて地域社会に多大な経済効果をもたらしています。教育は観光や資源に次ぐ重要な「輸出産業」とされており、コロナ禍で落ち込んだ経済を立て直すうえでも、留学生の増加は欠かせない施策となっています。
さらに、地域戦略としてアジアとの関係を重視していることも背景にあります。
オーストラリア政府は東南アジアや太平洋地域とのつながりを深める方針を進めており、教育交流はその土台を築く重要な柱とされています。今回の制度では、公共大学や学生寮を整備する教育機関に優先的に追加枠を与える仕組みを導入し、単なる数の拡大ではなく「質を伴った拡大」を目指している点も特徴です。
参照:Channel News Asia (CNA)
IDP Education
受け入れ拡大がもたらすメリット
受け入れ上限の見直しは、単に学生数を増やすだけではなく、学業の機会や生活環境の改善、さらには将来設計の安定化にもつながります。留学生にとっては、より安心して学び、生活し、そして将来を描けるようになる大きな転機といえます。
進学チャンスの広がり
これまで入学枠の制限により、希望しても学ぶ機会を得られなかった学生にも新たな道が開かれます。特に公共大学への進学希望者にとって、受け入れ拡大は大きな後押しとなります。
国際的な学びの場の充実
枠が広がることで、これまで以上に多様な国から学生が集まります。異なる文化や背景を持つ仲間と学ぶ環境が整い、国際的な交流やネットワーク形成のチャンスが豊富になります。
安心できる生活環境
政府や大学による学生寮の整備、サポート体制の強化が進められています。住宅確保の不安が軽減され、学業に集中できる環境が整うことで、安心して留学生活を送れるようになる見込みです。
将来設計のしやすさ
国家レベルで受け入れ枠が明示されたことにより、長期的な留学計画を立てやすくなりました。「枠が減るかもしれない」という不安が少なくなり、安心して学びのステップを計画できます。
懸念点
受け入れ枠の拡大は歓迎される一方で、現地社会や教育制度に影響を及ぼす可能性も指摘されています。主な懸念点は以下の通りです。
住宅不足と生活コストの高騰
シドニーやメルボルンなど大都市は、すでに家賃が高騰していて社会問題になっています。留学生が増えることで住宅需要はさらに大きくなり、生活費の負担が重くなる可能性があります。政府や大学は学生寮の新設を進めていますが、すべての学生が安心して住めるほどの部屋数がすぐに確保できるとは限りません。したがって、「早めの準備」と「地域を広げた住居選び」がますます重要になります。
参照:Go8 Policy Briefing
公共大学優遇による教育機関間の格差
今回の受け入れ拡大は主に公共大学を対象としているため、私立教育機関では受け入れ枠の増加が限られる見込みです。そのため、志望する学校の種類によってチャンスの広がり方に差が出る可能性があります。進学を考える際には、大学だけでなくTAFEや専門学校なども含めて、幅広い選択肢を調べておくことがポイントです。
地域社会への影響と現地住民の反発
留学生が急に増えると、現地の生活にも影響が出ることがあります。例えば、バスや電車が混雑したり、病院の予約が取りづらくなったり、アルバイトの競争が激しくなることもあります。こうした変化が現地住民の不満につながる場合もあり、地域の人々と助け合いながら生活する姿勢が求められます。
ビザ制度の不正利用リスク
受け入れ拡大は、不正利用の温床となるリスクも潜んでいます。就労目的での滞在やビザ制度の不正活用が増えると、留学生全体のイメージや教育の信頼性に影響する可能性があるため、学生は「学業を目的とした正しいビザ利用」を心がけることが大切です。
まとめ
オーストラリア政府の留学生受け入れ拡大は、教育と経済を支えると同時に、地域とのつながりを強める大きな一歩です。上限を29万5,000人に広げることで学生に多くのチャンスが生まれる一方、住宅や生活環境への影響も見過ごせません。いま留学を考えている方にとって、この拡大は大きな追い風となるでしょう。チャンスを逃さず、前向きに活かしていきましょう。
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