大学3年生の後期から1年間、シドニーに海外ビジネスインターン・プログラムを利用し渡航していた裕太郎さんの体験談です。英語の勉強やインターンはもちろんのこと、持ち前の行動力で地元アイスホッケーチームへの参戦や忙しい合間を縫ってのオーストラリア旅行なども楽しまれました。今回は留学しようと思ったきっかけから語学学校での勉強の様子、インターン先での経験などお話いただきました。
1.留学しようと思ったきっかけ
2.海外ビジネスインターンシップを選んだ理由
3.語学力向上のため同時並行で通った2つの学校
4.インターンを通しての気づき
5.オーストラリアでの生活
6.今後の目標
1.留学しようと思ったきっかけ
留学しようと考えるようになったのは、「もっと英語を話せたら…」という思いからです。
英語を話すことができれば、より多くの人たちと出会いつながることができるのではないか、英語というコミュニケーションツールを持つことで将来の選択肢が広がるのではないか、そんな思いから留学したいと思うようになりました。
実は、今回の留学を考える前、中学生、高校生の頃から、オーストラリアやカナダに短期間、語学留学やホームステイをした経験があり、「海外」には以前から興味をもっていました。また海外に限らず、新しい土地でいろんな人々と出会うという経験も、私にとっては非常に魅力的なものでした。
「大学生になったら長期で海外に挑戦してみたい。」
そう思っていました。
ただ、「やりたいこと」は留学だけではありません。大学入学したのちに始めたアイスホッケーやもともと好きだった旅行、もちろん、大学での勉強など、やりたいこと、やらなければいけないことは尽きません。気が付けばあっという間に大学1~2年生の時間は過ぎ去っていきました。大学生活の折り返し地点にたった2年生の終わり、春休みの時期に「よし!留学しよう!」と本格的に動きだしました。思い立ったらすぐに動きたい性格なので、本当は3年生の新学期から留学したいと思っていたのですが、さすがに手続きなどの兼ね合いもあり、3年生の後期からの渡航を決意しました。
2.海外ビジネスインターンシップを選んだ理由
留学プランを選ぶ際に軸としたことが大きく2つあります。1つ目は留学中、明確な目標を持てるプランであるという点、2つ目は就職活動に向けて糧となる経験のできるプランである点です。
例えば普通の語学留学の場合、「英語を学ぶ」が目的で英語力を伸ばすうえで明確な目標がなく、特に長期の留学となると中だるみしてしまう……そんな印象がありました。一方、海外ビジネスインターンであれば、オーストラリアの企業でインターンするという明確な目標があり、インターン先企業との面接や実際のインターンでより充実した経験を得るため、英語力を伸ばさなければなりません。そうすると、同じ時間数のなかでもより英語力を伸ばせると思いました。また、本格的に企業で働く経験は帰国後の就職活動に役立つ経験になるだろうと考えました。
後述しますが、オーストラリアの企業で働いてみて、やはり語学学校に通って勉強するだけでは得られなかった環境と成長があったように思います。
3.語学力向上のため同時並行で通った2つの語学学校
海外ビジネスインターンはオーストラリアのワーキングホリデー制度を利用したプログラムです。オーストラリアのワーホリ制度は最長4ヵ月までしか就学が許されていません。つまり、わずか4ヵ月間のなかでネイティブ環境で働けるだけの英語力を身につけなければならないという点です。そこで海外ビジネスインターンでは短期間でも英語力をのばせるようにと、ダブルスクールといって2つの学校に同時並行で通うプログラムとなっています。語学学校は英語の総合力を伸ばせるMIT Instituteと発音強制を中心としたスピーキング向上に特化したJET English Collegeです。最初は大変さもあったダブルスクールですが、最終的には両方の学校生活を楽しめたと思います。
特にMIT Instituteでの勉強は充実していました。ブラジルを中心に日本人以外の学生とも交流を持つことができ、読む・書く・聞く・話す、それぞれの英語技能をバランスよく伸ばすことがでました。
ただ、友だちとお酒を飲んでいるときや旅行しているときのように「楽しい」時間だったのか?というとそうではありません。
例えば学校が始まったばかりのころは、先生の英語を聞き取ることにすら必死で毎日ひぃひぃ言いながら授業を受けていました(笑)。
語学学校では一人ひとりのレベルにあったクラスに生徒を振り分けるため、入学時に試験を受け、その時点での英語力を査定します。この最初のテスト結果が良かったこともあり、入学したのは、レベルやや高めの中の上級クラス(General English Course(一般英語コース))でした。当時の私にとってそのレベルでの勉強は難しく、入学してすぐの頃、先生の話はまったく理解できませんでした。ワールドアベニューのウンセラーさんにも「どうしたらいいですか!?(汗)」と相談したほどです(笑)。
そんな状態からのスタートではありましたが、なんとかコツコツ勉強し、その後、IELTS対策コースへ上がりました。IELTSは海外の大学進学や就労ビザ取得などの際、英語力を図る物差しとして用いられる試験です。試験項目にはライティング、リーディング、スピーキング、リスニングがあり、4技能をきちんと評価するがゆえに、世界的にも信頼性の高いテストとして知られています。このIELTS対策コースでは、IELTSで出題されるであろう問題をもとに対策を進めていきます。よって日ごろの自分たちの会話には用いられない、さまざまなトピックにおけるスピーキング力やらライティング力などが求められました。スピーキングのお題は、ときに芸術の話だったり、ときに政治の話だったりしました。幅広いトピックを通じて語彙力、文法力共に成長させることができたと感じています。
学校生活のなかで印象に残っているのは、勉強以外の観点でいうと、ブラジル人を好きになったことです。もともと嫌いだったとかではありません(笑)知らなかったのです。彼らはいつもとても明るく前向きで、どんなときも人生を楽しんでいるように見えました。実際、そうなんだと思います。自分が在籍していたクラスのレベルもあり、周囲には英語を学ぶ意識もレベルも高い生徒が多く、さまざまな面で刺激を受けました。
英語試験のスコアを伸ばすためだけの勉強であれば日本でもできるかもしれません。しかし、このようにさまざまな国の人たちと共に英語を学ぶなかで人間関係ができ、互いの国や文化、意見や価値観の違いを知ることができるというのは、留学の一つの魅力のように思います。
4.インターンを通しての気づき
語学学校の終わりにスピーキングテストを受け、一定のレベルをクリアすることでインターンの選考に進めます。苦労したかいもあり、スピーキングテストは一回で合格することができました。
‐ インターン先企業との面談
面接ではまず簡単なエントリーシートのようなものを記入。その後、15~30分程度の面接、という流れでした。私は本番の面接に備え、志望動機や自己PR、インターンを通してどのような経験を積みたいのかなど、しっかり答えられるようにかなり準備したつもりでした(というか、かなり準備しました)。しかし、本番の面接が始まると、当然ながら想定外の説明や質問がとんできます。準備していた答えと求められている回答が同じ質問だったとしても、聞かれ方や聞かれる順番などによって、準備してきたまま答えるというのはなかなか難しいものです。さらに海外生活もまだ4~5ヵ月目というタイミングでネイティブと1対1の面接で緊張しないはずもなく、準備していた答えすらも思い出せない…… そんな瞬間もありました。そんなこんなで面接はかなりいっぱいいっぱいだったことを覚えています。
インターン先企業の選考は「本物」です。
海外ビジネスインターンというプログラムで渡航しているからといって、履歴書での書類選考や面接なしにインターンを始められるわけではありません。書類選考はシビアに行われ面接では合格する人がいる一方で不合格になる人も当然います。
私は一度の面接で合格し、インターンを開始することができました。ただ、私のインターン先企業での面接でも私と同時にもう2人の面接者がいました。私が合格したということは2人は不合格になったということです。そしてもしかすると他の企業や教育機関からの候補者を含めると同時期に選定されていた人の数はもっといたかもしれません。
ワールドアベニューからインターン生の募集を行っている候補企業の案内をいただいたとき、業種や職種、企業の規模などにこだわりすぎなかったという点も、選考がスムーズに進んだ要素だったと思います。「IT系の企業がいい」「マーケティングに携わりたい」などそれぞれ思いはあると思います。ただ、この海外インターンで最も重要なポイントはオーストラリアの企業、つまりネイティブ環境で働く経験を得られるという点です。本当に職種や業種にこだわり、一定の分野での経験を積みたいということであれば日本でインターンすればいいと思います。「どこで働くか?」という点よりも「その環境で何ができるのか?」という点を重視するのをおすすめします。
‐ インターンからの気づき・成長
私がインターンしていた企業は簡単にいうと債務に関する問題やトラブルを抱えている人を主な顧客としてコンサルティングを行う企業でした。お金を借りている人、貸している企業や金融機関、そして税務署などの国の機関、これらの間に入り返済の調整などを行ってました。そんななか私が担っていた主な業務は、貸付を行う企業や金融機関への情報確認とそのデータを取りまとめるというものです。
まず、インターンを通しての気づきは大きく3つあります。
1つ目は、どんな業務にもやりがいを見出すことができるという気づき、2つ目は、世界には本当にいろんな人がいるという気づき、3つ目は教える・育てるということにやりがいを感じるという点です。
1つ目のどんな業務にもやりがいを見出せるという点に関して
どのインターン先…… というか、日本で就職しても同じだと思いますが、最初に与えられる仕事は「作業的な仕事」が多いと思います。中途採用の場合は分かりませんが、新卒で働きはじめてすぐ新商品の企画を考える仕事に就くなんてことはほぼあり得ません。私もインターンを始めて最初の数週間は作業的な業務を中心にこなしました。それは一見すると「つまらない仕事」です。しかし、私はこれらの仕事に対し、「つまらない」とは思いませんでした。「より効率的にこのデータをまとめるにはどうしたらよいのか?」「より早く正確に仕事をこなすためには何が必要か?」「今自分がまとめているデータは今後何をするうえで重要になっていくのか?」そんな風に考え、時折調べたり聞いたりしながら任せられた仕事に取り組みました。そのような考え方で働いたことで、有意義な時間を過ごせました。
2つ目の世界には本当にいろんな人がいるという気づきについて
オーストラリアは非常にマルチカルチャーな国です。インターン生にもさまざまな国の人がいました。例えばペルー人やバングラデシュ人、インド人や中国人などです。そのほとんどがオーストラリアで大学を卒業し、就労ビザや永住権取得のため、インターンしているという人たちでした。もちろん、現役大学生の方もいました。目的が目的なので、みんなモチベーションは高いだろう…… と思いがちですが、そうでもありません(笑)。インターン生のなかには本当にいい加減なひともいて、2~3日で合わないから辞めるなんて人もいれば、メモをとらずに何度も同じことを指摘されている人などもいました。
最初は彼らの行動や言動、習慣、癖、意見など、自分との違いに対し、ポジティブにもネガティブにも感情が動きました。しかし、「本当にいろんな人がいるなあ…… 」と悟ってから(?)は、人はひと、自分はじぶんと、いい意味で周りを気にしなくなったと思います。
3つ目は、教える・育てるということにやりがいを感じることへの気づき
インターンの最後1ヵ月間、新人インターン生(中国人)の方の教育係を任せていただきました。先述しているように価値観や習慣、考え方の異なる人に、物事を教えるとなると、苦労するのでは…… と思いました。しかし、意外にも、「教える」「育てる」という仕事は私のやりがいにつながりました。 これは私にとって新たな気づき で、帰国後の就職活動において、大きなヒントに つながったように思います。
つぎに、インターンを通して成長したと感じる点は、やはり英語力 です。
債務者が申し出ている情報と貸付を行う企業や金融機関からの情報との整合性をとるという業務上、「数字」に触れる機会が非常に多く、また、ミスは絶対に許されないという緊張がありました。金融機関などへの情報確認は、基本的にメールや電話で行います。ただでさえ難しい数字まみれのネイティブとの会話を電話で行うのです。初めて電話したときの緊張感は忘れられないものがあります。
ただ、そんな仕事にも徐々に慣れていきます。6ヵ月のインターンを終えた今は、数字の確認やビジネスパーソンとの電話での会話には大きな抵抗はなくなりました。こういった実践的な英語力向上の機会は、語学学校に通っていただけでは決して得られなかったと思います。
インターンの終わりには、職場の皆さんがケーキをもって送別会を開いてくださいました。「今までのインターン生のなかでも君はトップクラスだ!」とうれしいコメントもいただきました。英語にはまだまだ自信はありません。しかし、「努力する」ということに対しての自信は培えたように思います。
5.オーストラリアでの生活
勉強して働いてとせわしなく時間を過ごしていた私ですが、合間をぬって旅行したり地元アイスホッケーチームでプレイさせてもらったり、オーストラリアでの生活も楽しみました。また生活にもこだわり、シェアではオーストラリア人、中国人、イギリス人と共にどっぷり英語環境で過ごしました。
旅行はケアンズ、メルボルン、ウルルにいきました。なかでもケアンズでのダイビングやラフティングは本当に楽しかったです。アイスホッケーは、地元の社会人リーグに参加しました。Facebookでチームを見つけ、アポイントを取り、参加させてもらうという流れでした。ネイティブ同士の会話はものすごく早く、スラングや頭字語も多く、さらに、はやりのドラマや映画の話題が乗っかってくるので、もう何がなんだか…… (笑)。よく、「日常会話レベルになりたい」と言っている人がいますが、正直「日常会話」が最も難しいのではないか?と思うほどでした。でも、そういった日々の刺激が、私にとってはとても心地よく、充実した時間だったように思います。そしてこれらの経験がいつか役立つ日が必ずあると感じています。
6.今後の目標
帰国して、10月からは大学に戻ります。そして本格的に就活本番が始まります。インターンやオーストラリア滞在中の自分に関する気づきから、就活では人材系や教育系の企業への就職を目指したいと考えています。そして、チャンスがあれば海外の方々とグローバルに働くということにも挑戦してみたいです。そのためにもまだまだ英語は磨いて行かないとですね!がんばります。