【最新情報】カナダ 卒業後就業許可制度の変更が2026年初頭まで延期に ― 留学生に与える影響とは
カナダ移民・難民・市民権省(IRCC)は、当初2025年6月25日から適用予定だったPGWP(卒業後就業許可)の対象プログラム制限を2026年初頭まで延期すると発表しました。PGWPは留学生にとってカナダでのキャリア形成に直結する重要な制度であり、今回の延期により、対象プログラムに在籍する学生も当面は就労許可を得られる見通しとなっています。
参照:Government of Canada
PGWP制度変更が延期に
当初の予定では、2025年6月25日から178の非学位プログラム(主にカレッジのディプロマや一部の専門課程)がPGWP(卒業後就業許可)の対象から外れることになっていました。もしこのルールが予定通り始まっていれば、これらのプログラムを修了しても卒業後にカナダで働くための許可を申請できなくなると考えられており、進学やキャリアを考えている学生にとっては大きな不安材料となっていました。特に、大学進学ではなくカレッジで実践的なスキルを学び、そのまま就職を目指す学生には深刻な影響が出ると予想されていました。
ところが、2025年7月4日にカナダ移民・難民・市民権省(IRCC)が発表を行い、この制度変更の実施を2026年初頭まで延期することを決定しました。これにより、2025年中に対象プログラムへ入学したり、学生ビザを申請した学生については、これまでと同じように卒業後にPGWPを利用できることが明確になりました。
今回の延期によって、「卒業後に働けなくなるのでは」と心配していた学生にとっては大きな安心材料となり、少なくとも2025年に学び始める人に関しては、これまでと同じ条件でカナダでの就労機会を得られる状況が続くことになります。
参照:CIC News “Canada postpones removal of study programs from PGWP eligibility”
対象となる学生
今回のPGWP対象プログラム制限の延期によって、影響を受ける学生とそうでない学生が明確になりました。
2025年6月25日以前にStudy Permit(学生ビザ)を申請した学生
この日までに学生ビザの申請を終えていた人は、そもそも制度変更前に申請しているため、従来通りPGWPの対象となります。変更の有無にかかわらず安心して就学・就労計画を進められるグループです。
2025年6月25日〜7月4日の間に申請した学生
当初はこの期間は、新ルールの対象外となる可能性が高く、申請した人が最も不利になるはずでした。しかし、今回の延期措置によって、この期間に申請した学生もPGWPの対象に含まれることが正式に決定しました。
大学の学位課程(学士・修士・博士)の学生
大学の正規課程(Bachelor・Master・PhDなど)で学ぶ学生は、もともと今回の「対象外リスト」に含まれていません。そのため、今回の制度変更や延期に関係なく、常にPGWPの対象となります。
つまり、自分がどのグループに当てはまるのかを正しく理解できれば、今回の制度変更で大きく不安を抱える必要はないでしょう。
参照:Titan Law Corp “IRCC Reinstates PGWP Eligibility in July 2025 Update”
制度変更が延期になった理由
今回の延期には、いくつかの理由があります。大きく分けると「学生への配慮」「教育機関の安定」「カナダ社会の人材確保」の3つです。
公平性の確保
本来であれば2025年6月25日以降に申請した学生は、新しいルールの対象となり、PGWPを利用できない可能性がありました。ところが、わずか数日の間に申請したかどうかで扱いが大きく変わってしまうのは、不公平感が強いという指摘が出ていました。突然不利益を被るケースを避けるためにも、今回の延期は、6月25日〜7月4日に申請した学生も対象に含まれることになりました。
教育機関の混乱回避
対象外リストが発表された後、カレッジや専門学校では学生募集やプログラム運営に大きな混乱が生じました。「卒業しても働けないなら進学しない」という声が広がり、入学希望者が急減する可能性が浮き彫りになったのです。制度がすぐに適用されていたら、学校側も十分な説明ができず、進学を検討している学生や準備を進めている学生に強い不安を与えてしまう恐れがありました。こうした状況を回避するため、延期が決定されたと考えられます。
参照:MIGRATION DAILY “Canada Delays Changes to PGWP Eligibility for Study Programs”
労働市場ニーズへの対応
カナダでは医療、IT、教育、技能職など、将来的に人材が不足すると見込まれる分野で労働力の確保が急務となっています。PGWPは留学生が卒業後にカナダで働くための重要な制度ですが、対象プログラムを一度に大幅に削除してしまうと、これらの分野に進む学生の数が減ってしまう懸念がありました。そこで、当面は人材育成と労働市場のニーズを両立させる形が維持されることになりました。
参照:Visa & Immigrations Updates “Canada PGWP 2025 Policy Shakeup: Key Updates for International Students”
これから意識すべきこと
今回の延期で当面の安心は得られましたが、制度の変更が完全になくなったわけではありません。今後の進学やキャリアを確実に進めるために、以下の点を意識して行動することが大切です。
1, 自分のプログラムがPGWP対象か確認する
まずは、自分が通っている、あるいはこれから入学を検討しているプログラムがPGWPの対象になっているかどうかを必ず確認しましょう。大学やカレッジではプログラムごとに「CIPコード」と呼ばれる分類コードが割り当てられており、この情報をもとにIRCC(カナダ移民・難民・市民権省)が公表している対象リストと照合できます。これを確認することで、自分の進学先が将来的にPGWPを利用できるかどうかを早い段階で把握できます。
2, 卒業後180日以内に申請できるよう準備を進める
PGWPは、卒業してから180日以内に申請しなければなりません。準備が遅れると申請期限を過ぎてしまう恐れがあるため、卒業前から必要書類や手続きの流れを確認しておくことが重要です。成績証明書や卒業証明書など、学校から発行される書類の入手タイミングも事前に確認しておくと安心です。
3, 2026年の見直しに備えて情報を更新する
今回の制度変更は2026年初頭まで延期されたにすぎません。その時点で再び見直しが行われ、対象プログラムの削減や条件の変更が発表される可能性があります。進学やキャリア計画を立てる際には、常に最新情報をチェックし、制度変更に合わせて柔軟に対応できるよう準備しておくことが大切です。
まとめ
今回のPGWP制度変更の延期は、多くの留学生にとって明るいニュースとなりました。
ただし、この決定は一時的な措置であり、2026年以降には再び見直しが予定されています。安心して学業に取り組める今だからこそ、情報収集を怠らず、将来のキャリアを見据えた準備をしていくことが重要です。
とはいえ、制度は複雑で頻繁に変更が行われるため、「自分の場合はどうなるのか」と不安に感じる方も多いのではないでしょうか。
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