【最新情報】カナダ学生ビザ、生活費証明額を2025年9月から引き上げ
カナダ政府は、学生ビザ申請時に必要な生活費証明額を2025年9月1日からCAD22,895へと引き上げます。物価や住宅費の上昇を背景に実施される今回の改定により、留学希望者の資金準備や申請計画に影響が及ぶ見通しで、カナダ留学制度への注目が高まっています。
参照:Proof of financial support
改定に至った経緯
カナダは質の高い教育と多文化社会を背景に、長年にわたり世界中の留学生を受け入れてきました。しかしその人気の裏では、都市部を中心に住宅費や生活費の高騰が続き、留学生が安定した生活基盤を築くことは年々難しくなっています。こうした経済状況は、学業の継続にも影響を及ぼしかねない深刻な課題となっていました。
この現状を踏まえ、カナダ移民・難民・市民権省(IRCC)は、2025年9月1日以降に提出されるすべての学生ビザ申請について、新たな生活費証明基準を導入すると発表しました。今回の改定は、長年据え置かれていた基準額を現実の生活費に合わせて見直す、大幅な制度変更となります。
新制度は単なる金額引き上げではなく、「留学生が安心して学業に専念できる環境を整え、教育の質と生活水準を維持する」ための国家戦略の一環と位置付けられています。十分な資金計画を持つ学生の受け入れを促進し、アルバイト頼みの生活や住居確保の難しさといった問題を軽減することで、留学生の安全と学習環境を守る狙いがあります。
結果として、今後は留学希望者にこれまで以上の計画性や準備が求められ、出願計画の重要性も一層高まることになりそうです。
改定額と適用時期の詳細
今回の改定で対象となるのは、2025年9月1日以降に行われるすべての学生ビザの新規申請です。2025年8月末までに提出された申請は、従来の生活費証明額で審査されるため、申請のタイミングによって必要な準備資金が大きく変わる可能性があります。
人数 | 2025年8月31日までの必要生活費証明額(CAD/年) | 2025年9月1日以降の必要生活費証明額(CAD/年) |
---|---|---|
1人(単身) | 20,635 | 22,895 |
2人 | 25,690 | 28,502 |
3人 | 31,583 | 35,040 |
4人 | 38,346 | 42,543 |
5人 | 43,492 | 48,252 |
6人 | 49,051 | 54,420 |
7人 | 54,611 | 60,589 |
追加1人につき | 5,559 | 6,170 |
参照:INC – Immigration News Canada
単身で留学する場合、これまで必要とされていた生活費証明額は CAD20,635でしたが、今回の改定で CAD22,895に引き上げられました。およそ11%の増額となり、カナダ国内の物価や住宅費の上昇を反映した、より現実的な金額設定となっています。
また、家族を帯同して留学する場合は、同行する人数に応じて必要な資金が段階的に増加します。たとえば、配偶者や子どもがいる家庭では、それぞれの人数分だけ証明すべき生活費が追加されるため、早い段階から資金計画を立てることが重要です。
生活費基準見直しが示すカナダの政策転換
今回の改定は、生活費証明額を上げるだけの単純な変更ではなく、カナダの教育や移民政策の方向性を示す役割を担っています。留学生の数は約100万人と、この10年でおよそ3倍に増え、カナダ経済や教育の発展に大きく貢献してきました。その一方で住まいの確保が難しくなったり、生活費が高騰したりといった問題が目立つようになっています。こうした現状を受けて、政府は「数を増やす」だけの方針を改め、学生の資金計画や生活の安定を重視した、より持続可能な留学制度へと方向転換を図っています。
この政策の狙いは、経済的に余裕のある学生を受け入れることで、学業に集中できる環境を整え、カナダの教育の質や国際的な評価を守ることです。そして、留学生の生活が安定することで、地域社会や学校への負担も減り、国全体として教育や移民政策への信頼も高まります。さらに、計画的な準備をして留学を選ぶ学生が増えることで、将来的にはカナダに定着し、社会を支える優秀な人材が育つ可能性も高まります。
この改定は、カナダを「人気の留学先」から「質の高い教育体験を提供できる国」へ進化させるための、大きな一歩だといえます。
参照:CBIE
申請に向けた準備のポイント
今回の改定により必要な資金が増えるため、早めに情報を集めて計画的に準備を進めることが大切です。
次のポイントを意識するとスムーズに進めることができます。
財政証明の主な方法
・銀行残高証明書
日本やカナダの金融機関で発行された預金証明書。
・GIC(保証付投資証書)
カナダの銀行が発行する、一定額を預け入れる証書で、学生ビザ申請の際によく使われます。
その他にも奨学金やスポンサーの支援証明など複数の方法があり、ケースによって必要書類は異なります。詳しくはお問い合わせください。
申請準備のコツ
・早めの書類準備
残高証明や奨学金証明などは取得に時間がかかるため、早めの手配が安心です。翻訳済みの正式書類を準備しておくとスムーズに進みます。
・計画的に貯蓄
学費・生活費・渡航費を合わせた総額を把握し、必要な金額を逆算して貯蓄計画を立てましょう。
・提出言語の注意
申請書類は英語またはフランス語が原則。翻訳や認証が必要な場合もあるので事前確認が大切です。
まとめ
今回の改定は、カナダで安心して学べる環境を整えるための大切な制度変更です。必要資金の基準が引き上げられたことで、申請準備のハードルは高くなりましたが、これは留学生の生活の安定や教育の質を守るための前向きな取り組みでもあります。
今後は「数」よりも「質」を重視する傾向が強まっており、資金計画や書類の準備を早めに始めることが留学成功のカギとなります。「どれくらい資金を用意すればよいのか」「必要な書類は何か」といった疑問は、状況によって必要な対応が変わるため、公式情報を確認しながら計画的に進めることが大切です。
自分に合った留学プランや最新情報を知り、余裕を持って準備をしたい方は、ぜひ無料カウンセリングをご活用ください。