学びは国境を越えて ― 東洋女子高等学校 ニュージーランドスタディーツアー(10日間)
都内の私立高校 東洋女子高等学校の生徒14名が、ニュージーランドでの10日間のスタディーツアーに参加しました。現地学校での授業参加やホームステイ、文化交流を通じて、生徒たちは英語力だけでなく、自立する力や積極的に行動する姿勢も育まれました。本記事では、その学びや成長の様子、そして学校としての取り組みをご紹介します。
留学プログラム導入の経緯・期待すること
出発前の準備
スタディーツアー 全体のスケジュール
ホームステイでの生活
観光と文化体験
引率教員からみた生徒の成長
アンケートから見えた生徒の成長
まとめ
留学プログラム導入の経緯・期待すること
東洋女子高等学校(以下、本校)では、2017年より希望する生徒を対象に、オーストラリアの高校での語学研修を継続的に実施してきました。海外研修や異文化体験に関心を寄せる生徒が年々増え、募集定員を上回る応募が続いています。そこで2025年度より、より多くの生徒に海外で学ぶ機会を提供するため、新たにニュージーランド・スタディーツアープログラムを開始することとなりました。
昨今、グローバル化が急速に進む世の中において、この留学プログラムを通して生徒様に積極性をつけ、自らの目標を達成する喜びを味わってもらいたい――更には本校の学校目標でもある、「知性と理性」のバランスの取れた女性に成長して欲しいという期待がありました。
出発前の準備
出発前には約10回にわたる事前学習が実施されました。英語での自己紹介や学校紹介などの練習はもちろんですが、「現地の日本語クラスで紹介する日本文化」をテーマに調べ、発表の練習を重ねていきます。
また、調理実習として炊飯や日本食づくりを体験し、「ホストファミリーに喜んでもらいたい」という気持ちで取り組みました。
そして、教員から「文化の違いを受け入れる努力をすること」「積極的にホストファミリーとコミュニケーションを取る意識をすること」といった、ホームステイ生活を送るうえでの心得が語られました。
生徒たちは少し緊張しながらも、期待に胸をふくらませて出発の日を迎えました。
スタディーツアー 全体のスケジュール
現地学校での学びと交流
プログラム中、生徒たちは主に現地公立校 、Hamilton Girls’ High School に通いました。初日にはマオリの伝統的な歓迎の儀式「Pōwhiri(ポーフィリ)」が行われ、各学校の校歌披露や代表生徒のスピーチを通じて、温かく迎え入れられました。
授業では、現地生徒が一人ずつ「バディ」として付き添い、一緒に授業や学校生活を過ごしました。全員で参加した日本語クラスでは、2人1組で事前に準備した 折り紙や書道、茶道、アニメ、マンガ、ソーラン節について紹介し、現地の生徒たちとの交流が大いに盛り上がりました。
ランチや休み時間はそれぞれがバディと過ごし、短い期間でも英語でたくさんの交流をし、今でも連絡を取り合う仲になった生徒もいれば、言語の壁の高さをあらためて実感するきっかけとなった生徒もいたようです。
帰国後のアンケートでの生徒の声(バディとの交流)一部抜粋
• たくさんの会話をできて、とにかく楽しかったです。モーニングティーやランチを一緒に食べたり、授業の移動中、お互いの国の事や学校について話せたり、もっとたくさん一緒に過ごしたいなと思いました。
• ほんの数日間で思ったより仲良くなることができて、今も連絡をとっている。バディーのおかげで学校生活を楽しむことができた。
• 授業や学校生活をサポートしてくれたり、友達を作る手助けをしてくれたりした。
• 話すネタがあまりなく、会話を続けるのが少し難しかったです。
現地学校での学びと交流
今回のプログラムでは、2人1家庭の形式でホームステイを行いました。滞在先はさまざまで、学校スタッフの家庭に受け入れてもらった生徒もいれば、ニュージーランド出身の家庭、さらには海外から移住してきた家庭で過ごした生徒もいました。それぞれの家庭の雰囲気や文化に触れることで、多様な価値観を体験する機会となりました。
多くの生徒が「1人では心細かったが、2人で一緒に滞在できたことで安心できた」と話しています。環境の変化に戸惑う場面でも、互いに相談し励まし合うことで気持ちが軽くなり、協力して困難を乗り越えることができました。
料理や掃除を一緒に取り組んだり、会話で分からないところを助け合ったりと、2人でいるからこそできる経験も多くありました。また、ホストファミリーの家に友人や子どもが集まる場面では、複数人で対応できたことが安心につながったという声もありました。
一方で、「ホストファミリーの前でも日本語を使ってしまうことがあった」「1人の方が成長できる面もあるかもしれない」といった意見もあり、課題も感じていたようです。
それでも、初めてのホームステイで不安が大きい中、「自分の味方がそばにいることが心強かった」「ペアで協力できる仕組みはとても良かった」という感想が多く聞かれました。
観光と文化体験
スタディーツアーでは、学びに加えて観光や文化体験の時間も設けられました。
初日には ハミルトンガーデンズ を散策し、日本庭園やイタリアンガーデン、フレンチガーデンなどさまざまなテーマ種類の庭園を歩き、ニュージーランドの自然に触れることで、到着直後の緊張も和らぎました。ただ、ニュージーランドの季節は冬だったため、夏であればもっと色鮮やかな植物を観察できたのではないかという後日談もありました。
週末にはハミルトンから車で約1.5時間の場所にある観光都市ロトルアへの日帰り旅行が行われました。ガバメントガーデンズやレイクロトルアで写真を撮影した後、マオリ文化を体感できる観光施設 Te Puia を訪問。ここでは、迫力ある マオリショー、伝統料理 ハンギビュッフェ、そして自然の力を感じる 間欠泉 を見学しました。さらに、ニュージーランドを象徴する固有種であり、国鳥でもある Kiwi(キーウィ) を保護するセンターや、伝統的な技を学べる マオリ工芸専門学校 も見学しました。Kiwiは夜行性で野生ではなかなか出会えないため、実際に目にする機会は生徒たちにとって特別な体験となりました。
生徒の声
• 「ロトルア観光はマオリショー、キウィ、間欠泉など充実していて満足です。」
• 「ハミルトンガーデンやロトルア観光はとても楽しく、日本では見られない景色を体験できてよかったです。」
• 「観光を通じて文化を知ることができ、異文化理解が深まりました。」
• 「ホストファミリーが必ずしも現地の人ではないため、ロトルアでマオリ文化を学べたことはとても魅力的でした。」
• 「観光をきっかけにスタディーツアーのメンバーとも仲良くなれたのでよかったです。」
• 「どの日程も楽しく過ごせて、とても充実した10日間でした。」
スタディーツアーアクティビティの様子
引率教員からみた生徒の成長
今回のスタディーツアーを通じて、多くの生徒に確かな成長が見られました。
引率教員は「生徒たちは一段階上のレベルに成長した」と語ります。現地の授業では、必ずしも手取り足取りのサポートがあるわけではなく、時にはバディから十分なフォローを得られない場面もありました。しかし、そうした状況でも生徒自身が主体的に行動しようとする姿が見られ、同じ学年の仲間が積極的に動く様子から良い刺激を受けていました。
また、現地での学びを通して「もっと英語力を伸ばさなければ」という強いモチベーションが生まれたことも大きな成果です。英語力が十分でなくても、自ら動いて挑戦することで環境が変わり、自分自身も変われることを実感した生徒が多くいました。
こうした経験は、生徒一人ひとりの成長にとどまらず、学校全体にとっても「主体性を育てる教育の大切さ」を再認識する機会となりました。
アンケートから見えた生徒の成長
スタディーツアー後に実施したアンケートでは、多くの生徒が 人間的な成長 と コミュニケーションへの前向きな姿勢 を実感していました。
人間的な成長
• 自立心の向上:「忘れものをしない、自分の身の回りのことを自分で管理することができた」「注意される前に自分から行動できるようになった」など、自立した行動ができるようになったという声が寄せられました。
• 責任感と主体性:「自分の意見を伝える大切さに気づいた」「周りを見て助け合うことができた」「自分から何ができるのか判断をして行動に移すことができた」といった振り返りもあり、異文化の中で責任ある行動を意識するきっかけになりました。
• 挑戦する姿勢:「不安でもまずは自分で考えて行動した」「新しい環境で挑戦することに自信がついた」という回答も目立ちました。
コミュニケーション・語学面
• 積極性の芽生え:「ホストファミリーに毎日話しかけた」「Yesで終わらずに一言添えるようにした」など、小さな工夫を重ねて交流を広げようとする努力が見られました。
• 実践からの学び:「英語力が十分でなくても、自分の言葉で伝えようとした」「メモ帳に、単語やフレーズを書き、ホームステイ先へ帰宅後に意味を調べ、今後の会話で使えるように復習をした」といった前向きな取り組みが報告されました。
• 課題意識:「会話を広げることが難しかった」「名前や細かい表現を覚えきれなかった」など、語学面の課題も挙げられ、今後の学習意欲につながる結果となりました。
全体の成果
アンケートを通じて、生徒たちは「感謝の気持ちを大切にする」「困ったら仲間や相手に相談する」「異なる文化を尊重する」など、多様な学びを得ていたことが明らかになりました。
まとめ
ここまで東洋女子高等学校のスタディーツアーについてお読みいただき、いかがでしたでしょうか。
実は、参加後のアンケートの中には「海外への興味関心は増しましたか。」という質問がありました。回答は「他の国にも行ってみたい」(観光・留学)が最も多く、関心がニュージーランドだけでなく海外全般へと広がっていることが分かりました。ニュージーランドへの再訪希望(観光)は9名と多く、留学目的での再訪を希望する生徒も4名いました。つまり、観光にとどまらず「留学」という形で海外に挑戦したいという意欲が確実に強まっていることが印象的です。
ワールドアベニューは、個人のお客様だけでなく、東洋女子高等学校様のような法人向け留学プログラムの企画や手配、渡航までのトータルサポートを提供しています。実際に、今年2月には Hamilton Girls’ High School との提携に伴い、現地校やアクティビティ候補地の視察にも同行しました。今後、学校教育における海外研修の需要はますます高まることが予想されます。
News–東洋女子高等学校様のニュージーランド 新規提携校視察に同行いたしました–
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