東洋高校 校長先生に聞く|国際教育に込める想いとこれからの展望
ワールドアベニューでは、2017年からコロナ禍の期間を除き、東洋高等学校様の留学プログラムを継続的にサポートしてまいりました。
長年にわたり国際教育の推進に力を注がれてきた同校。
今回は、留学制度導入の背景や生徒への想い、そしてこれからの国際教育のあり方について、市川校長先生にお話を伺いました。
市川 良幸様
学校ホームページ:https://www.toyo.ed.jp/about/message/
東洋高等学校は、「自律・共生」を教育理念に掲げ、生徒一人ひとりが自ら考え、行動できる力を育てる学校です。なかでも国際教育に力を入れており、ターム留学や1年間の海外留学プログラム、英語での探究学習などを通して、世界を舞台に活躍できる生徒を育成しています。
1.留学プログラムを導入しようと思われたきっかけや理由を教えてください
10年ほど前、校内で「教育改革プロジェクト」を立ち上げた際、改善点・検討事項の一つとして「国際教育」を掲げました。それまでにも海外への修学旅行やアメリカへのホームステイプログラム、留学生の受け入れなどはありましたが、どれも「独立した行事」という印象が拭えないものでした。
グローバル化する社会と、生徒・保護者のニーズとを見据えたときに、国際理解教育を本校の教育の柱の一つとして位置づけ、体系立てた教育プログラムとしての留学制度が必要であると判断し、1年間の準備期間を経てターム留学をスタートさせました。VUCAの時代と言われる今後の社会を生きていく高校生にとって、異文化を頭だけではなく身体で理解することがその後の人生の大きな力になると考えたからです。これまで100名以上の卒業生が、ターム・1年間留学のプログラムに参加しました。その多くが「留学してそれまでの価値観が変わった」、「これまでの人生で一番濃い時間を過ごすことができた」というコメントを残していることを考えても、留学プログラムの導入は間違っていなかったと確信しています。
2.生徒様にとって、留学を通してどのような成長や学びを期待されていますか?
現在の日本の高校は、良くも悪くも生徒が「同質化」しています。学校の中にいる友だちは同じような地域から通い、同じような収入の家庭に育ち、同じような学力レベルをもっています。そのような学校(社会)は生徒たちにとって精神的なストレスの少ない「居心地の良い場所」だと思うのですが、現在の高校生が生きていくこれからの社会は、「異質」であるということを前提にしたやり取りがデフォルトになっていくように思います。
生徒たちにはまず「現在自分が置かれている環境は当たり前ではない」ということを学んでほしいと思います。そして、その「当たり前ではない」環境の中でも自分らしく生きていかれるような力強さを身につけてほしいと思っています。
3.実際に留学から帰国された生徒様を出迎えられて、どのような変化や印象をお持ちになりましたか?
それぞれの生徒が、留学中に困りごとやアクシデントなどを経験していますが、それでも「楽しかった」、「留学してよかった」と全員が答えてくれるということを考えると、それぞれが多少の問題には対応できるだけの適応力を身につけることができたのだと思います。親に頼るのではなく、「自らが解決しなければならない」、「自ら主張しなければならない」という経験を通して、帰国後の表情がそれまで以上に自信に満ちたものに変化しているように感じています。
4.今後も留学を推進していくにあたり、大切にしたいことや期待されることがあれば教えてください。
一人の高校生が留学するためには、多くの人の手がそこに関わっています。様々な立場の人たちが様々な場所で、留学生を笑顔にするために力を尽くしています。留学を終えた生徒たちには、ぜひそのことを(頭で理解するのではなく)心で感じてほしいと思います。また、留学生を笑顔にしたいと願い、バックアップする人たち同士が、心からお互いを理解し合えるような関係こそがその留学プログラムを長続きさせるのだと思います。留学生と関わってくださるすべての方々に感謝申し上げるとともに、末永く心の繋がった関係が続いて行くことを期待しています。
5.市川校長からのメッセージ
金銭的な負担が少なくはないものの、その後の人生を考えると高校時代に留学を経験することは、決して「割に合わない投資」ではないと思います。ただし、実りのある留学にするためには「何でも吸収したい」という留学する本人の意欲が必要です。これは海外経験に限った話ではありませんが、どんなに刺激に満ちた場所(社会)へ行ったとしても、普段とは違う周囲の状況に興味を示す心の動きがなければ、そこから得られるものは何もありません。「行くことによって、何かが変わる」ということも大いにありますが、普段から好奇心を持って日々を過ごすことは大切だと思います。
また、留学経験を「楽しかった」だけで終わらせないことも必要です。自分の住む世界と異なった生活様式や考え方を知る機会を経て、そこからさらに、まだ見ぬ世界に暮らす人々の暮らしぶり、世界のありようなどにも想像を膨らませてほしいと思います。「自分は恵まれている」で終わるのではなく、自分の価値観では「恵まれていない」と思う人たちにも思いをはせ、エンパシーを感じられる人になってほしいと思います。
6.さいごに
東洋高等学校様の国際教育に込める想いをお読みいただき、いかがでしたでしょうか。
留学を通じて生徒一人ひとりが異文化に触れ、世界の中で自分らしく生きる力を育む——。
一人の生徒の挑戦の裏には、先生方やホストファミリー、現地の方々など多くの支えがあります。
その温かいつながりを大切にしながら、ワールドアベニューはこれからも生徒と学校の“学びの挑戦”を全力で応援していきます。
国際教育の導入や既存プログラムの改善をご検討の学校・法人の皆さまは、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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