留学することのデメリット
世界のグローバル化が急速に進むなか、注目を浴びている留学。留学情報を調べていると留学することのメリットが多く紹介されていますが、留学するうえでデメリット(不利益や損失)ってないのでしょうか。今回はあえて留学することのデメリットをご紹介します。
デメリット1、お金がかかる
留学にはお金がかかります。高校や大学などの卒業を目指す長期的な留学はもちろん、1年間の語学留学や、現地でアルバイト収入を得ることのできるワーキングホリデーであっても、一時的にまとまったお金が必要です。
1年間の語学留学・・・250万円~350万円
1年間のワーキングホリデー・・・120万円~200万円
1年間の高校留学・・・350万円
海外大学進学(4年間)・・・1,000万円~
*上記の費用は、学費、生活費、航空券、保険、ビザ申請諸費用など、留学にかかるであろうすべての費用を含んだ概算です。留学先の国や都市、通われる教育機関によって異なります。費用について詳しくはこちら
日本での高校、大学進学などでも、1人暮らしであれば生活費の仕送り、私立であれば相当の学費が必要です。しかし、海外の教育機関の学費(特に高等教育機関)は日本の、特に国公立と比較すると高くなります。
以前、留学するときでも奨学金は使えるの?の記事でご紹介いたしました通り、すべての留学費用をご自身、またはご家族でご用意できなくても、留学費用を捻出する方法はあります。しかし、特待生として学費免除となったり、返済不要の奨学金を利用したりしないことには、留学後、「借金」として残ります。
留学を含め、学んだ知識やスキル、資格をきちんと就職につなげ(もちろん起業なども一つの方法です)、留学に投資した額以上の収入を得られるようにならなければ、投資した費用はたんなるデメリット(損失)となってしまいます。
デメリット2、キャリアにブランクを作る
ブランクとは、履歴書・職務経歴書に記せる内容のない期間、一言でいうと「離職期間」を指します。
ブランク期間の理由は留学を含め、病気やケガのための療養、家庭の事情、転職活動の長期化など、無数に挙げられます。ただ、職務経歴書に何も書くことができない期間という意味では、どのような理由であっても「ブランク」として見られます。
ブランクがあることで、転職・就職が不利(デメリット)になるのかどうか?という点においては、採用担当もブランクの理由を考慮することが多く、ブランクがあるという事実だけで就職・転職が不利(デメリット)になるかというと、そうではありません。しかしブランクがあることで、懸念されるポイントがあるのは事実です。
ブランクがあることで懸念される(採用担当が必ず確認したいと思う)ポイントは大きく3つあります。
・職務能力
・モチベーション
・理由
・職務能力
離職期間があることで、最も懸念されるのが職務能力です。特に変化の激しい業界だと、最新のスキルや知識を持っているかどうか、または最新の業界の動きに追いついていけるかどうかは採用担当が必ず確認したい点と言えます。
特に中途採用の場合、採用後は即戦力として期待されることがほとんどで、以前の職務経験や離職期間中の経験が転職後の職務能力にプラスになっている、または求められる知識やスキルが劣っていない点をアピールする必要があります。留学が、転職や就職においてアピールできる経験となっていなければ当然デメリットとなってしまうでしょう。
・モチベーション
「働く」ことに対するモチベーションも、採用担当者が懸念するポイントです。「働く」ことにはプラスにもマイナスにもストレスがかかります。決められた時間帯に出社する必要があり、タスクやノルマがあり、プレッシャーがかかります。離職していたと言っても、ワールドアベニューで人気の海外ビジネスインターンシップのように、海外で働く経験をしていたり、厳しい環境で勉学に励む環境にいたりすれば、働くモチベーションに対して、アピールできる点も多いと思います。しかし、ブランク期間が「働くことからの逃避」期間だったのではないか…と判断されてしまった場合は、なかなか就職に繋がらなくなってしまいます。
また、留学中の一時的な就労(アルバイト)での働き方に馴染みすぎてしまうことにも注意が必要です。
海外は比較的就労者を守る法律や制度が厳しく、残業などもほとんどありません。アルバイトで給料が時間給計算となるとなおさらです。且つアルバイトと正社員とでは求められる責任感、成果も大きく異なります。ワーキングホリデー制度などを利用し一時的なアルバイト雇用で、プライベートと仕事のON/OFFをつけて生活してきた楽しさをそのまま日本での就職に持ち込むと、「働き方」に対する意識が企業とかみ合わず、「働き方に対する意識が低い」と捉えられ、就職活動を失敗しがちです。
・理由
先述した通り、ブランクにはさまざまな理由が存在します。採用担当は、その理由が具体的にどのような理由だったのか?を確認します。採用担当からみて、ブランクの理由に納得感があるかどうかが重要です。近年、留学のために離職する方も珍しくありません。したがって、留学はネガティブに捉えられることもありませんが、留学しただけでポジティブに捉えられるということもありません。
留学がブランクの理由の場合、その留学経験がブランクを埋める、もしくは上回る経験であることを説明できなければなりません。1年以下の留学であれば職務能力を懸念されることはあまりありません。しかし、具体的な目的を持たないワーキングホリデーでの渡航、且つ客観的に評価される英語力(TOEICのスコアなど)もない状態で帰国してしまうと、ポジティブな評価は期待できないと考えた方がよいでしょう。
ちなみに、この「ブランク」の話は、社会人留学に限っての話かというと、そうではありません。近年留学者数が増加している大学生でも同じことが言えます。大学生の方の場合、大学4年間の1年間を利用して、または1年間を休学して留学することになります。企業側は、休学すること自体や大学を5年かけて卒業したことを、マイナス評価することは、まずありません。しかし、「なぜ休学したのか」には確認が入りますし、理由が留学であれば、どのような目的で結果何を得たのか、採用担当も気になるところでしょう。
休学したり、留学費用を投資したりした分、留学を介して得た結果(英語力のスコアや日本ではできなかったさまざまな経験、留学先で得た能力など)をきちんとアピールできるような留学をしましょう。アピールできない場合はデメリットとなる可能性も大いにあります。
デメリット3、期待値が上がる
留学経験があることで、上がる期待値があります。
わかりやすいのは英語力だと思います。留学経験のない方の場合、TOEIC700点持っていると言われると「そこそこちゃんと勉強した人だな」と思うのに対して、留学経験のある方でTOEIC700点と言われると、「留学中、ちゃんと勉強しなかったのかな?」という残念な気持ちになります。期待値が高い分、留学経験者であれば持っているであろう能力やスキルに対する評価が厳しくなるのです。
周囲の人々や就職・転職活動に携わる採用担当は、留学していたにも関わらず、英語力が低かったり、主体性や積極性に欠ける一面が見られたりすると、留学というせっかくのチャンスを活かせなかったのでは?と感じます。
これは、普通の語学留学でもTOEIC400点台からスタートして900点取得しました!という方や、海外インターンシップに参加し、海外の企業で就労経験を積んできました!という方など特筆すべき結果を持って帰ってこれる方にとっては大きな不安材料ではありません。しかし、普通のワーホリや目的のない語学留学などでの渡航を考えている方は、帰国後、留学していたことで周囲の期待値が上がるのに対し、実が伴わず、就活において留学していたことが足を引っ張るデメリットとなる……なんてこともあり得ます。
デメリット4、生活環境の危険度が上がる
近年多発するテロや外国人観光客狙いの事件など、さまざまなニュースが飛び交う中、「治安」は留学を考える上で、誰もが一瞬不安に感じることだと思います。
特に留学費用を安く抑えられると注目を浴びたフィリピン、フィジーなどは、非常に治安が悪く、その「悪さ」は平和ボケした日本人には想像し得ないものがあります。
街角の死体、地獄絵の刑務所──フィリピン「麻薬撲滅戦争」の実態 (4/4) 〈AFPBB News〉|dot.ドット 朝日新聞出版 https://t.co/Qhbiq5aSTP
— ウォンバットくん@ワールドアベニュー (@WorldAvenueJPN) 2017年5月1日
参照:外務省 海外安全ホームページ(東南アジア)
↑「危険度表示」をクリックすると各国の危険度を確認できます。
ワールドアベニューで人気のオーストラリアやカナダなどは主要英語圏の中でも比較的治安のよい国で、英経済誌「エコノミスト」の調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット」が発表する「世界の都市の住みやすい都市ランキング」(世界140都市を対象に、安定度、保健医療、文化・環境、教育、インフラの5つのカテゴリーの評価を元にランク付けしたランキング)で毎年トップ10にランクインする国々です。
従って、銃社会のアメリカや、殺人発生率が日本の約30倍と言われるフィリピン(2012年 国連犯罪薬物事務所公表データ参照)などと比較すると安心して渡航できる留学先ではあります。
しかし、軽犯罪(盗難や置き引きなど)は日本よりも高い発生率を示しており、日本で生活するよりは高い危機管理意識を持って生活いただく必要があります。
近年、日本でも奇異な殺人事件が多数発生しており、決して安全な国とも言い切れなくなってきていますが、生活するうえで、犯罪に巻き込まれる可能性が高まるという点は留学の一つのデメリットと言えるでしょう。
5、さいごに
いかがでしたでしょうか。
留学は私の人生を大きく変えてくれました。しかし、どんな留学であっても、留学さえすれば人生なんとかなる、すべてうまくいくというものではありません。何事にもメリットもあればデメリットもあり、リスクもあります。チャレンジするうえでご紹介させていただいたデメリットを踏まえ、人生のステップにつながる留学にしてください。
留学することのメリット とも比較しながら読んでみてくださいね。
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