「留学の目的」をしっかりと意識して留学を考えよう!
留学を成功させるためには、留学する前に自分自身の留学目的を明確にすることがとても大切です。
何も考えずに、とにかく海外へ行く留学スタイルもありますが、貴重な時間とお金がかかる留学を有意義にするためには留学で成し遂げたいこと=目的を明確にしておくべきでしょう。
留学の目的として主なものは、海外生活と語学力の向上を目的とした語学留学、また近年は、海外の教育期間を卒業することに焦点を置く留学、すなわち海外の大学、専門学校、高等学校の卒業を目的とした卒業留学が代表的です。他にも海外での就労や永住権取得などを目的に、海外の専門資格(看護師資格等)取得や日本よりも進んでいる専門知識の習得を目指される方もいます。
ここでは、留学するうえで、なぜ目的を明確にすることが重要なのか。留学の目的はどのように考え、見つけ出せばよいのか。また、現役留学カウンセラーから、近年多く寄せられる留学の目的上位5位をご紹介します。
1.なぜ、留学の目的を明確にすることが重要なのか
「なぜ、留学の目的を明確にすることが重要なのか。」
留学目的を明確にすることが重要な理由は大きく3つあります。
1.留学は履歴書上「ブランク」
2.留学は人生への「投資」
3.「海外に飛び出した」だけでは評価されない
一つずつ説明していきましょう。
1.留学は履歴書上「ブランク」
数週間の留学は別ですが、3ヵ月間以上の留学の場合、学生であれば留学期間、休学、社会人であれば一度仕事を退職しての留学となることがほとんどだと思います。
近年は留学の内容や期間によっては、海外で学び取得した単位を移行し、学年を遅らせることなく進級できたり、帰国後、会社に貢献できるような結果を得られる留学であれば休職することができたりするようになってきました。しかし、そのような例はまだまだごくわずかです。通っている学校や勤めている会社の規定で留学しなければならない場合を除き、上記のような例は稀でしょう。
結果、3ヵ月間以上、長期留学する場合、ほとんどの方が、履歴書上に日本でのキャリアに「ブランク」を作ることになります。
履歴書上の「ブランク」にはさまざまな意味があります。
ケガや病気によるもの、家族の都合、資格取得など学業に取り組んでいたなど、さまざまです。
幸いなことに、留学することが一般的になってきた近年、留学に伴うブランクをネガティブな目で見る方は少なくなったと感じています。高校生や大学生で1年留学し学年が1つ下になったとしても、それがその後の進学や就職活動において不利になるということはほぼないといっても過言ではないでしょう。
しかし、それは、「目的」と「結果」あってこその話です。
貴重な時間とお金、つまり大きなコストを投下してまで参加する留学には、明確な「目的」と「結果」が求められるのです。
留学することが一般化してきた昨今、なにを持って留学したのか、また結果、目的を達成できたのか?によって、履歴書上の「ブランク」に対する捉え方、また評価が変わります。
明確な目的を持つことで、留学自体が有意義なものになることはもちろんのこと、留学後のキャリアにもポジティブな結果をもたらします。
2.留学は人生への「投資」
「投資」というと、株式や不動産などのイメージが強いかもしれません。しかし、投資とは将来的に資本(生産能力)を増加させるため、現在の資本を投じる活動を総じて意味し、自己研鑽などにおいても使われる言葉です。
仕事において必要なビジネス書を買ったり、好きな人に振り向いてももらうためにエステに通ったり、これらを自分への投資、「自己投資」と言いますよね。今後の進学や就職、夢の実現のための留学も、自己投資の一つではないでしょか。
投資には失敗やリスクが付きものです。
例えば、あなたが「かっこよさそうだし収入もよさそうだから外資系企業で働きたい」と考えたとします。
現時点であなたの英語力はTOEIC500点前後。
海外旅行ではなんとか片言の英語で通りますが、ビジネスシーンにおいて交渉やプレゼン、企画書作成などは全くできません。
このような状況で、「海外で生活すれば英語力も伸びるだろう!」と、明確な目的、またその目的に付随する目標を立てず、海外で自由に1年間過ごすことのできるワーキングホリデー制度を利用し海外渡航したとします。
ワーキングホリデー制度は3~6ヵ月間勉強することができ、国によっては制限なく働くことが可能です。
予算をなるべく抑えたいということも踏まえ、語学学校で勉強してるよりも、ネイティブ環境で働いた方が、お金も稼げるし、実践的な英語力が伸びるのでは?と期待し、1ヵ月間だけ語学学校に通い、その後のプランは現地で考える(アルバイトなどは現地で決める)、なんともサバイバルなワーホリで渡航したとします。
結果、どうなるのか?
ネイティブ環境での仕事に就くためには、最低でもTOEIC750点以上、加えて英語でのコミュニケーション力が求められます。
残念ながら、残念ながら、1ヵ月間の英語学習期間ではTOEIC500点前後から大きな成長はありません。つまり、意気揚々と地元のカフェやレストランなどでアルバイト探しをし始めたとしても、ネイティブ環境での仕事に就くことはそうとう困難です。働くことのできない期間が長くなると、生活費用の底が見えてきます。すると、帰国するか、英語環境でなくてもいいからとにかく働き口を見つけ、そこで収入を得る他ありません。よくあるワーホリのパターンは、ここで日本人ばかりが働く日本食レストラン(居酒屋やお寿司屋さんなど)で働き、あっという間に1年が終わってしまうというものです。
当然、英語力は外資系企業で働くレベルには達っしませんし、就職活動で、面接官に「留学で何を得たのか?」と聞かれても、就職後の活躍が期待されるような回答は伝えられないでしょう。
いかがでしょうか。
上記は、貴重な時間とお金を投資したにも関わらず、投資の先に期待していた結果を得ることのできない失敗投資の例です。
ではどうすればよかったのか?
その答えが「明確な留学目的を持つ」ということです。
外資系企業といっても具体的にどのような業界・業種で働きたいのか?
それら希望する企業で求められる英語レベル、また能力にはどのようなものがあるのか?
さらに、どのような目標を設定しクリアすれば掲げた目的=希望する外資系企業への就職活動を勝ち残る力を手に入れることができるのか?
では掲げた目的、またその目的を達成するための目標を達成するためにはどのような留学プランであるべき必要があるのか?
これらを考え、きちんと答えを持って留学することが、留学の成功に繋がるのではないかと考えます。
3.「海外に飛び出した」だけでは評価されない
世界のグローバル化、日本企業の海外進出、外国人労働者の増加、日本の少子高齢化など、さまざまな要因が絡み合い、日本政府も「海外留学」を積極的に後押ししている昨今、留学すること自体、珍しいことではなくなってきました。
「海外で1年間生活しきた」ことが、その人の積極性やタフネス、発信力などを裏付ける根拠となった、そんな時代もありましたが、これだけ簡単に海外旅行や留学に飛び出せるようになった今、「海外に飛び出した」だけでは大きな評価を得ることはできません。
むしろ、得て帰ってきた語学力やその他能力・結果次第では、「それってわざわざ時間とお金を使い、海外に行ってまで得るものなの?」「あぁ、1年、海外で遊んできたんだな」とネガティブな意見を持つ方もいるほどです。
もちろん、一部の専門職の方、自営業の方であれば、「リフレッシュ」や自分への「ご褒美」を目的に留学を検討する方もいらっしゃるでしょう。そういった方にとっては、予算が許す期間で、大好きな国、気候のよい国でのんびりと過ごす、その際に、観光ビザだけでは希望滞在期間に達しないため、ワーキングホリデービザや学生ビザを利用するという方もいらっしゃるかもしれません。留学のきっかけや理由、目的や目標は十人十色。正しいも間違っているもありません。
そういった意味ではリフレッシュや自分へのご褒美という目的も立派な留学目的です。留学がより充実したリフレッシュやより素晴らしいご褒美になるよう、利用する制度や内容(通う学校や、滞在方法など)などきちんと検討し、留学目的にそって一つひとつ目標立てを行うことで、より有意義な留学となるでしょう。
やはり、せっかく海外に飛び出すのであれば、明確な目的を持つことが、留学経験をその後の人生に繋がる鍵となります。
留学後の人生が豊かになることこそ、留学の成功と言えるのではないでしょうか。
2.留学目的の考え方
では、具体的に、どのようにして留学目的を考えていけばよいのでしょうか。
留学の目的を決めていくためには、まず成し遂げたい自分の夢や希望を具体的にイメージすることが第一歩となります。
日本語のように英語を話して仕事をしている自分の姿や、グローバル企業で世界中を飛び回っているビジネスパーソンになっているかもしれません。ほかにも、海外旅行で家族や友達と外国に訪れた際に、ホテルでのトラブル対応や要望、またはレストランの予約や注文などを英語で颯爽とこなしている姿でもいいでしょう。
そうなれるまでに、「何年かかるか?」ということが大切ではなく、自分がなりたいと思う将来のイメージを固めることが留学を決めていくことに繋がります。
例えば、海外で働くためには海外の大学を卒業していることは大きな強みとなります。この場合であれば、留学の目的は海外で就労できる人材になることですので、海外の教育機関を卒業することが留学の目的となります。将来のなりたい姿が見えていれば、留学の目的を明確にするだけでなく、留学前や留学後にしなければいけないことも明確になります。
3.留学目的 上位5位
実際に、留学を決意する方は、具体的にどのような留学目的を持って留学するのでしょうか。
ワールドアベニューの現役留学カウンセラーが、上位5位をご紹介します。
5位…人脈作り
留学はその国の言語や専門的な知識や技術を学ぶことはもちろん、将来の就職活動やキャリアチェンジ、起業や昇進など、帰国後のキャリアを見据え、それらに繋がる経験、そして人脈を得たいと考えている方も多いようです。
とくに、経営者の方や大手企業の役員、これから起業を考えている方などにとって、仕事をするうえでさまざまな壁にぶつかったり、問題を抱えたりすることは少なくなく、それらに対して斬新なソリューションや解決の糸口となるアイディアを提供してくれるような人脈は非常に重要です。
特にMBAを含む、大学院への留学ともなると、人脈作りを大きな目的の一つと考える方も多いようです。
4位…永住権取得/海外就職
少子高齢化、貧困格差、教育、デジタルデバイドなど、さまざまな社会問題を抱える日本を脱し、海外に移住・永住したいと考える方は少なくありません。しかし、一時的な旅行や留学と異なり、永住権の獲得や就労ビザの取得となると、その国が求める人材である必要があります。
例えば、オーストラリアやニュージーランド、イギリス、カナダなど各国には職業不足リストというものが設けられています。
そのリストに記載された職業(いずれも専門性の高い技術や知識、経験を持つ職業)で且つ、英語力や学歴、その職業における経験値、また働く場所、年齢など、さまざまな条件を満たすことによってはじめて、永住権や就労ビザ取得などの機会が生まれます。
当然そのような専門的な高い技術や知識、経験をもつ職業となると、世界的、またはその国で認められた資格(国家資格など)を有していたり、一定の学歴を取得したりする必要があり、それらを取得・修了するために留学する方もいらっしゃいます。
3位…海外生活/異文化交流
1年以下の語学留学やワーキングホリデー、短期留学などに多い留学目的です。
島国である日本を飛び出し、多種多様な文化や習慣、言語のなかで、生活し、多彩な感覚や語学力を身に付けたいと考えている方が増えています。海外生活体験や異文化交流は、短期間の留学から目的を達成することができます。
特に、中学生・高校生であれば、現地の家族と共に生活するホームステイに滞在し、現地校にてネイティブと肩を並べ数学や理科、体育、また日本にはない科目(IT、エンジニアリング、デザイン、乗馬など)を体験していただくこともできます。
オーストラリア・ニュージーランド 中学・高校留学情報はこちら
2位…転職・就職に活かしたい
日本企業の海外進出、日本のリーディングカンパニーたちの社会公用語英語化、企業の吸収合併などにより、突然上司が外国人になるなど、業務における英語の必要性は年々増しています。
例えば、あなたが外資系企業に就職したいと考えていたとします。
希望するその企業は、社内公用語英語化しているわけではないものの、通達事項やミーティングなどは当たり前のように英語で行われ、クライアント企業も外資系企業が多いため、依頼書や企業に関連する資料もすべて英語であることがほとんどです。当然、その企業で働き、結果を出すためには入社当初から高い英語力を求められることになります。
そんなシチュエーションが増えてきています。
ゆえに、英語も一般英語だけではなく、ビジネスシーンにおいて求められる英語力を身に付けることを目的とした留学が求められています。
1位…英語力向上
留学の目的のなかで、もっともポピュラーなのはやはり英語力(またはその他語学力)の向上です。
コミュニケーションツールが一つ増えるだけで、人間関係を築く際、情報収集する際のハードルはグッと下がりますし、高校や大学、大学院など、進学先の選択肢、また仕事を選ぶ時の選択肢も一気に広がります。
留学にはさまざまな制度がありますが、短期間の留学を除くすべての留学で、語学力の向上は期待できます。
語学力向上を中心とした留学「語学留学」はもちろん、中学生・高校生、10代の若い時代からの留学や、海外大学進学、専門的な知識や技術を学ぶ専門留学など、ネイティブのような高い英語力を身に付けることができる留学もあります。
留学を通じて、日本語の通じない環境で英語を学び、生活や学習、仕事を通じてアウトプットすることで、日本で英語を学ぶよりも、短期間で効率的に、且つ実践的な英語力を身に付けることができます。
中学生・高校生時代からの留学
文法や単語力などはもちろん、ネイティブのような自然な発音を習得することができます。
オーストラリア・ニュージーランドの中学・高校留学情報はこちら
海外大学進学
大学生活を通じて、アカデミックなライティングスキル、プレゼンテーション、多種多様な意見が飛び交うなかでのディスカッションなど、プロフェッショナルな分野における高い英語力を習得することができます。
専門留学
海外大学進学ほど、長期的な留学は難しい…という方にお勧めなのが専門留学。
英語力が不安という方でも英語研修からスタートいただき専門的な分野における英単語や表現力を身に付けることができます。
語学留学
英語力を本格的に伸ばしたいとお考えであればお勧めは半年以上の語学留学です。英語を英語で集中的に学ぶことができるのはもちろん、目的に合わせた英語コース(ビジネス英語、各種英語試験(IELTS、ケンブリッジ英語検定、TOEICなど)対策コースなど)を選ぶことが可能です。
他にも、留学の目的はさまざまです。留学のカウンセリングをしていると実に十人十色の留学目的があることに驚かされます。どれが正解というわけではないですが、留学の先輩が立てた留学の目的を参考に考えてみるのもよいでしょう。
・英語で苦労する人生にしたくない
・英語力がないことで人生の幅を狭めたくない
・キャビンアテンダントになりたい
・将来世界を飛び回る仕事に就きたい
・日本での就職活動を苦労したくない
・海外で生活する夢を叶えたい
・外国人の友達を作りたい
・留学で得たことを今の生活や仕事に活かしたい
・海外の大学でしか勉強できないことを学びたい
・海外で専門資格を取得したい
・海外の医療現場で働きたい
・国際協力活動に参加したい
・字幕なしで海外の映画を観れるようになりたい
・とにかく今の環境から飛び出したい
・外国人と結婚したい!
・自立した人間になりたい
・引っ込み思案の性格を直したい
・英語を話してモテるようになりたい
※ランキングや留学目的の例は、2020年7月現在 ワールドアベニュー調べです。
多種多様な留学の目的があることに驚いたのではないでしょうか。何が正解、不正解ということではありませんし、複数の留学目的があって当然です。型にはめて考えるよりも自由に留学でできそうなことを考えてみることが大切だと考えています。
4.さいごに
こんな話があります。
英語を喋れるようになりたいと考えた方(女性)が、まずカナダのワーキングホリデーで飛び出しました。英語を少し勉強し、ウィスラーのホテルでベッドメイキングやハウスキーパーとして働きました。楽しくワーキングホリデー生活を送り、帰国。渡航前に比べれば英語力は伸び、英語を使う仕事にも就けるかもと考え、就職活動するも、英語を使う仕事に就くことはできませんでした。残念ながら仕事で使える英語力には達していなかったため、英語を使う仕事に就くことはできなかったのです。
「留学期間が短かったから、まだ仕事で使える英語力に達していないのかも…」
そこで、お金をため、もう一度ワーキングホリデー制度を利用し、今度はオーストラリアへ渡航しました。
帰国直前、彼女は自分が明確な英語のスコア(TOEICなど)を持っていない、つまり自分の英語力を客観的に証明できるものを持っていないことに気が付きます。そして、ワーホリで稼いだお金で、フィリピンへ。短期集中のTOEIC対策コースで対策し、TOEIC800点を取得しました。
対して、帰国後の就職活動に備え、ビジネスシーンで使える英語力を身に付けたい、そのためにTOEICのスコア向上はもちろん、現地企業で働く本格的な就労経験と実践的なビジネス英語力を習得したい。そう明確な目的と目標を立て、海外ビジネスインターン留学した方は、密度の高い英語学習と、海外企業での本格的な就労経験を経て、たった1年間でTOEIC285点から875点まで伸ばしました。
いかがでしょう。
留学前に、自らの将来像を明確に、その将来の姿にそった留学の目的を明確化することで、これほどまでにコストパフォーマンスが異なってくるのです。
留学を通して何を達成したいのかを膨らませて考えていくことは、面白くもあり夢が膨らむ過程の1つです。
留学カウンセラーと留学の目的を楽しみながら固めていくことが留学カウンセリングの1つ目的でもあります。堅苦しく考えずまずは留学の目的をはっきりとさせていくことから留学を検討してみてはどうでしょうか。
前の記事> 1. 留学とは何か?
次の記事> 3. 留学の種類